わり]
千世子は白いまるっこい手を長い袖から一寸出して云った。
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「どれ? ほんとうにねえ神さまににくまれたんだ。『おやさしい天の神様、どうぞ私の御願を御きき下さい、これから必ず夜更しや、よみすぎはいたしませんからこのつめたい手をあったかくして下さいませ』」
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Hは気がるなおどけた身ぶりをして自分の手の中に入って居る千世子の手の甲に一寸キッスをした。
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「お祈りがききましょうか、随分あやしい!」
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千世子はなんでもない事の様に思って云った。朝起きると先ず父親に額にキッスされてそれから母親にして、一日の仕事にとりかかるのが常になって居る千世子には、Hのしたキッスもやっぱり年上の人がじょうだんにした事とほか思って居やしなかった。
うす青かった暁の光線は段々赤味をおびて来て、窓がらすがキラキラする様になった。
太陽の暖味と薪の赤さでのぼせる位部屋の中はあつくなった。千世子はこんなにうれしくこんなに神秘的だった暁がさわがしい昼間にかわる事がいかにもつらかった。
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「Hさん
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