た間から一番いいのをよった蓮花がのぞいて居るのが、千世子にはさしぐまれる様な気がした。
 二人の間にわだかまった事をときたいと云う様にそれからは出来るだけ陽気に天狗俳諧をしたりしてさわいだ。千世子のそんなに深く思って居ないらしい様子を見て母親は快く他愛もない事を書きつけて笑い合って居るのが、千世子には只自分のつとめた事が成功したと云う事のほかにうれしい事はなかった。
 そうしてねられなかった長い間千世子は母親と小供と小さな鼻をした女中の顔を見て涙ぐんで居た。そうして居る間パチパチと目をあいたりつぶったりしながら、妙に親しくなったHと自分の事を考えないでは居られなかった。
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「何にも私はHに恋をして居るんじゃあない、そうしてして居ないと断言する事が出来る。けれ共私はあの人に同情して居る、或る程度まであの人を信じて居る、こうやってはなれて居ても思い出す事もあるだけ彼の人は私の頭の一部分を領して居るに違いない。私達は不幸だと知りながらもはなれて居られないものになるかも知れない」
[#ここで字下げ終わり]
 こんなに思いつづけて居る内にあんまり先の先の事まで又そんな事のな
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