に阿母さんの名まで自筆で書くんじゃあありませんか……」
「そりゃあそうでもネとかく……」
「何ぼなんだってあぶり出しの手紙なんか書きません」
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千世子はこんな事を云いながら何故私達はこんな一本の手紙なんかでこんなにさわいで居なくっちゃあならないんだろうと思った。
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「下らない事だ!」
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フッと頭の中をそういう閃きの通って行ったあとすぐ「阿母さんは私が出すのをいいと云おうか悪いと云おうか迷っていらっしゃるんでしょう、もしいいんならここに名をかくんなりウンと云うなりなさってちょうだい」
何でも早くくくりをつけちまう方がいいんだと云う様にまっしかくな目つきをして云った。
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「ほんとサ、そんな事は考え物だよ」
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にえきらない返事をしたっきり母親は前に長々とうねって居る手紙の字をあっちこっちひろって居た。二人はだまったまんまてんでな事を考えて波の音にまじってひびいて来る小さい子供と女中の笑声をきいて居た。
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「阿母さんこんな事しててもあんまり下らないじ
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