あありませんか」
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って自分の云った事を思い出した。
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「どう云う点から云っても彼の人の年になっては奥さんがなくっちゃあ可哀そうだけれ共――」
「あの人はまだごくの若い心で居た時に思いがけない苦い悲しさを味わったから結婚なんて事を只感情的に考える事が人並より出来にくくなって居るんだ!」
「でも私はあの人の生活に手をさわってはいけないんだ、そうすれば悪い事が大抵は起るにきまって居る」
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 こんな事を思って居た。
 千世子はたった一人の男のために自分の生活の状態が変調子になって来たり、こびりついてはなれない感じをうけるなんて事はこのましくないいやな事だった。
 いくら何と云ってもHがすきだと云う事ばかりは千世子のどんな心ででも打ちけして、
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「いやそうじゃあない」
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と思わせる事は出来ないものであった。今まで思いつづけて居た事を拭ってしまおうとする様に空に覚えて居るサロメの科白をうたの様な声で云った。
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「ヨカアンナや、あたしはお前の体にほれてよ! お前
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