ああしたもかなりあったかそうだから行っちゃあ、送って行ってもあげられるし」
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父親がこんな事を云い出した。
二人は何かしきりに話し合って居る内に行く事にまとまったと見えて女中にドレッスケエスを出させるやら、小田原に電話をかけるやらして父親は時間表を見て居た。
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「ちいちゃんもう御ねかえ、あした行くんだってサ、そのつもりで御いで……」
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とまっしろい中にうずまって居る千世子に声をかけた。千世子はひよっこの様に目をパチッとしたっきり返事もしないでザワザワする空気の中にひたって居た。
Hと一寸も会わずにたとえ十日か二十日の事でも行くと云う事は何だかそれっきり長い間会われないものになってしまいそうな不安がおそって来た。
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「今夜でも来ればいいのに――それでなければあしたの朝早くでも――」
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こんな事も思って居た。
青い海とがけの多い箱根を見て単調に暮す海辺の生活を想って見たり、海の面には陽炎が立って居るだろうの朝起きるとすぐむれた足をひやっこい水にひたす時の気持なんかを
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