し位の気の重さはなおってしまいますよ。
私としゃべった位で気が軽くなる位ならそんなに大して重かったんでもなかったんでしょう。
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はじけた様に千世子は笑った。
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「いいえね、随分重かったんです
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〔以下、原稿用紙四枚分欠〕
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「貴方の手が私の琴を弾く時より奇麗に見えたからですよ、
羨しかったんです。
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千世子は思いあがった様に笑った。
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「ああ私もう帰りましょう、
あんまりいつまでも居ると貴方にさわりましょうから。
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笛を吹く様に肇は云った。
千世子は別に止めようともしなかった。
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「今度来る時には篤さんと一緒に来ます、
何だか、気がとがめる様ですよほんとうに。
「まだそんな事を気にしてるんですか。
誰とでもいらっしゃい、
いやでなかったら御会いします。
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千世子はこんな事を云いながら黄色な焔のユラユラゆらめいて居るのを見て居た。
こんな陰気な中に居るのは千
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