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ときいた。
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「あの――笹原の肇《はじめ》って云うんです。
早稲田だねえ、君!
小さい時っからの仲よしなんですよ。
「まあ、そんなら今までお目に掛らなかったのが不思議な位ですねえ。
ああそれから、
貴方こっちへいらっしゃいよ。
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千世子は京子をまねきながら、
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この方はね、私がもう随分長い間つきあってる人で山科のお京さんて云う――
絵をやってます今。
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ごく簡短な紹介めいた事をすると四人は丸くなって腰をかけた。
京子は千世子のそばにぴったりとよって笹原って云う人は篤の傍をはなれまいとして居た。
四人の間には破る事の出来ない「初めて会った人」と云うへだてが出来てどうしても千世子と篤ばかりの話になり勝になった。
「のけもの」と云ういまわしい感じをさけるために千世子はだれにでも話しかけた。
何と云うまとまりもないありふれた世間話が四人の間を走りまわって白けかかる空気を取りもどすために、篤は下らない自分の日常の事についてまで話した。
肇は無口な男だった。
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