四尺位で長さが一間半位の『ふせかご』を作るようにたのんどいで。
三日位まででね。
「何だろうまあ。
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女中は大きな声で笑いながら、
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鳩の事でございますねえ。
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と今思いあたったらしく云った。
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「たった二匹ぼっちの鳩をお入れになるのに一間半なんて長さがいるんでございますか?
「だってお前せまかったら気の毒じゃあないか、
一間半だってこれっぽっちだよ。
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わざわざたって行って千世子は柱から柱までの間をさして見たりして、
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何だか楽しみなもんだねえ。
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なんかと云って笑った。
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おあきなさらなけりゃあいいが。
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そう云って居る女中の顔に、
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「また飼番は私だよ。
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と云う色がありありと見えて居た。
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私の用はそれだけなんだよ。
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千世子はがっかりした様に云ってクルリッと後を
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