四尺位で長さが一間半位の『ふせかご』を作るようにたのんどいで。
 三日位まででね。
「何だろうまあ。
[#ここで字下げ終わり]
 女中は大きな声で笑いながら、
[#ここから1字下げ]
 鳩の事でございますねえ。
[#ここで字下げ終わり]
と今思いあたったらしく云った。
[#ここから1字下げ]
「たった二匹ぼっちの鳩をお入れになるのに一間半なんて長さがいるんでございますか?
「だってお前せまかったら気の毒じゃあないか、
 一間半だってこれっぽっちだよ。
[#ここで字下げ終わり]
 わざわざたって行って千世子は柱から柱までの間をさして見たりして、
[#ここから1字下げ]
 何だか楽しみなもんだねえ。
[#ここで字下げ終わり]
なんかと云って笑った。
[#ここから1字下げ]
 おあきなさらなけりゃあいいが。
[#ここで字下げ終わり]
 そう云って居る女中の顔に、
[#ここから1字下げ]
「また飼番は私だよ。
[#ここで字下げ終わり]
と云う色がありありと見えて居た。
[#ここから1字下げ]
 私の用はそれだけなんだよ。
[#ここで字下げ終わり]
 千世子はがっかりした様に云ってクルリッと後を
前へ 次へ
全67ページ中29ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング