やじさん達の生活の根本問題と全くつながった線にあることが理解されるだろう。民主戦線という言葉がいたるところに言われている。学生が学生だけで、工場に働く人が工場に働く人だけで固まって、そこだけで解決出来ないほど今日の日本の問題は大きく広い。そして根本的である。村と都会とはお互いの困難を分け持っているし、その自然の解決は双方の協力なしには決して実現しない。青年の賃金の低さは婦人の賃金が騰《あが》る時でなければ決して騰らないし、民法の上で女が独立の権利を持たないうちは、一家の中で長男だけが持っている特権と負担とは解決しない。人民の利害はこのようにして、人口の九割九分までを包括している。そしてほんの一握りの権力と金力とを持った支配者に向って立っている。この社会の土台がどこにあるか。三角というものは尖った小さい先で立っているか、それとも一番線の長い広いところを土台として立っているか。三角を尖った先で立てることは人間が二つの手の上でさか立ちすることよりも困難である。社会の三角の力強い底辺である人民が、どうして自分達の幸福のために努力しないでいられよう。その底辺の一番重心である青年がどんな理由があっ
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