中国文芸の方向」も、ともに政治と文学との関係を正当自然に、それぞれの社会生活の現実関係に即して理解させようとしている。どこの国でも、政治の優位性ということは誤解と偏見とを招く危険があると見えて、陳雲は、いかにも東洋の賢こさで次のように表現している。「われわれの規律は、ただあの非無産階級的な、革命を妨害するものどもを束縛するだけで、それはちょうど游泳術が游泳する人にたいして、ただ彼が溺死しないように束縛するだけであるのと同じ」である、と。
 最後に、ジダーノフの報告のうちに、警告とし強調されている政治性、階級性、思想性などが、文学的創作の具体的経過のうちで、どのように生き高めらるべきかという問題がある。私たちに、わかりやすい実例をとるならば、そのために、ソヴェト作家同盟はゴルバートフに時間を与え「降伏なき民」を、もう一度手入れさせ、真の現代古典としてのこるにふさわしいだけもっと大切な歴史的細部を充実させ、もっと主要な諸人物を典型として確立させる機会を与えることも、一つの方法である。全篇の構成をもっと研究し、ある部分ははるかに短縮され、ある部分は描写の場所をその必然にしたがっておきかえられ
前へ 次へ
全39ページ中36ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング