政治と作家の現実
宮本百合子
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)捗《はかど》っている。
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)中心とする|労・農通信員《ラブ・セル・コル》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)にかわ[#「にかわ」に傍点]までたべたソヴェト市民に、
−−
一
深大な犠牲をはらって西欧におけるファシズムを粉砕したソヴェト同盟では、平和が克復するとすぐ、物質と精神の全面に精力的な再建がはじまった模様である。たとえば、ドニェプルの大発電所は、第一次五ヵ年計画時代の全ソヴェト人にとってじつに愛着と誇りの象徴であったが、ナチス軍がドニェプル地区に侵略してくる危険が迫ったとき、大発電所はそれを建設した労働者の手によって破壊された。その記事を新聞でよんだとき、果敢な人々の行動に心をうたれたものはけっして一人二人でなかったろうと思う。またふたたび自分たちの手でこれを造る日を、どんなに心に誓って、それを破壊したであろうか、と。そのドニェプル発電所の再建からはじまって、スターリングラードの名誉あ
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