。そのために、民主的文化人・芸術家・技術家すべてが、精力をつくして働かなければならない。ちょうどソヴェト社会が社会主義に徹底すればするほど、ソヴェト文学とその作家の存在価値は国際的重要性をもち、しかもそのためにこそ、すべての芸術家が、その芸術を通じてある必要の時期には五ヵ年計画に協力したし、必要の危機にはその生命を前線にさらした。私たちは率直に、まず自分の存在のためにあるべき社会をあらしめなければ、自分のありようもないことを、認めなければならないと思う。昨今、日本では、いためつけられつづけた日本のインテリゲンツィアらしいひきつれ、歪んだ方法で、政治と芸術の課題がいわれはじめてきた。政治と文学との最もひろい血肉関係は、ジダーノフの報告を学びつつここまで触れてきた、社会と文学との関係の検討のうちに暗示され、語られたと思う。あまり暴圧的な少数者の施政と政策との犠牲となってきているものだから、おじけづく癖がついてしまっている。政治ときくと、ただちに命令・統制・拘束を思って、手足をこわばらせ息をつめ、鞭を見た奴隷のように理解力を失い愚鈍に陥ってしまう。その同じ人々が、三十五倍の都民税をはらう義務
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