入った勉が苦しそうに寝返りをうち、夜具をかぶった。
やがて、ミツ子がじぶくり出す。はじめ夢中で背中をたたいていてやった乙女がすっかり目をさまし、勉が起きるのを心配しながら小声でいろいろすかそうとすると、猪首のミツ子は、わざとそれを撥き返すように体を反らせ、
「いやーァん、ばァちゃーん! いやーァん」
半年の間の習慣で、ばァちゃんを呼びたて泣き立てた。
すると、祖母ちゃんが、寝床の中から前掛を締めながら立って、
「さアさ、ミツ子、泣くでねえよ、な、まんまやっから泣くでね、な?」
飯をもって乙女の床のところへ来てミツ子にあてがうのであった。
勇が続いて起き、アヤが起き出し、勉も眠っておれず薄い蒲団をあげた。
勉が寝不足で蒼く乾いた顔を洗う間、祖父《じっ》ちゃんは草箒で格子の前あたりをちっと掃き、掃除のすんだ部屋へ上って坐った。アヤがチャブ台を出す。勇は、祖父ちゃんの拡げた新聞の間から落ちた色刷りの広告を、畳へおいて見ている。
道具のない台所で飯の仕度をしている乙女が、
「――祖母《ばっ》ちゃん、ちいと吸って見な」
この頃は眉がつり上ったきりになったような表情で、そこに跼《か
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