の布を手にもって、やさしい故郷の踊をおどりはじめる。
 地面の上が喜びあふれるメーデーのデモで埋っているばかりではない。
 空に、快い爆音がある。飛行機だ。数台の飛行機がメーデー祝祭の分列式を行っている――
 モスクワのあらゆる街々から赤い広場へ向って行進して来たデモが、広場へ入る二つの門の外で赤旗の海となった時、広場の中《うち》では、威風堂々の閲兵式の殿《しんが》りとして、ソヴェト共産党青年団、中華民国共産党青年団救護隊が通過した。
 社会主義ソヴェト、万歳※[#感嘆符二つ、1−8−75]
 メー・デー万歳※[#感嘆符二つ、1−8−75]
 ウラーアァ※[#感嘆符二つ、1−8−75]
 轟く歓呼の声の下で、動き出したぞ!「インターナショナル」の一際高い奏楽といっしょに、先ず先頭の赤旗が広場へ向って静かに繰り出した。
 続いて、あっちの門からも!
 合流して、十数万のプロレタリアートが前進する足音と音楽とは、夕暮近くまで赤い広場に響き渡った。
 デモは日が暮れるまでに終ったが、ソヴェトのメーデーはこれですんだんじゃあない。
 夜はイルミネーションだ。
 その壮観を見物しようとして押しか
前へ 次へ
全6ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング