るんだけれども、女って、どういうのかな。男は同じところに働いていて自分だけ仕事をあてがわれずにいたりしたら、それを苦痛に感じるんです。女のひとも同じ気持だろうと、察したつもりで間がわるく手があいたりしないように絶えず何か割り当たるようにすると、女のひとはどういうわけか余りよろこばないんだな。ちっとも遊ばせて置かないって云うんです。
その一寸した感想も、なかなか女の仕事や生活に対する一般の態度の機微にふれている。女のひとの感情がそんな風に動く原因はどこに在るのだろう。
数ヵ月前にある婦人雑誌で職業婦人の月給調査を試みたことがあった。あらゆるところで女の給料はやすかった。或る百貨店で初給が男より十七銭か女の方がやすくて、原則として対等にしていたが二三年後には男の方がぐっと上になってしまう。その店のひとの話では、どうしても男の店員は生活問題が痛切ですから仕事の上に責任も感じますから、とこういう相異を必然として語っていた。
ちっとも遊ばせて置かない、と云う女のひとの心持には、どうせ興味もない機械的な仕事なのに、という思いが裏づけられているのだろうと思う。どうせこれっぽっちの給料でこんな詰
前へ
次へ
全16ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング