きなり子供を産むためという風には考えられないこと。先ず人間としての男女の結合とみるべきで、さもなければ何かのことで子供を持つことのできないでいる夫婦には結婚生活の意味がないということになるだろうし、それは人間の自然な理解にもとること。自分の生活に自分で責任が持てるという意味からは、媒酌結婚よりもやはりお互に相手を選んだ結婚の方が心持よいだろうというような意見を述べていた。
この座談会は、いろいろな意味で現代の若い婦人の生活態度の面を示している点で注意をひいた。座談会へ出席して物をいう心持を持っているということは、若い婦人として何か積極的なものがなければしないことだと思う。そういう世の中へ出て発言するだけに歩み出している若い婦人が、今日の社会の一人の女として結婚についても、本能的に人と人との結び合いとして把握していないで、子供を産むためという風な素朴な内容で言うところが私たちの感想をひき出すところだと思う。恋愛の心持を経験していない若い婦人が、観念の中で考えても結婚ということがまだ本当にわかっていないというのは素直な言葉であると思う。わからないということは、私どもにすらりと受けとられる
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