に投げているこれは光の一片である。
 革命第十三年にあるСССРで、組合員千二十八万人をもつ職業組合は、本質に於て社会主義的生産労働力統制、およびプロレタリア文化建設のために働いている。СССРじゅう数千の勤労者クラブは職業組合文化部の仕事だ。もと、クラブは会員組織だった。クラブを持っている工場又はその生産別職業組合に属するものだけ入れた。ところが、それでは一つ不便が起った。ソヴェトはプロレタリアートの国ではあるが、彼等のモスクワは社会主義都市計画によって建てられてはいない。昔々モスクワ大公が金糸の刺繍でガワガワな袍の裾を引きずりながら、髯の長い人民《ナロード》を指揮してこしらえた中世紀的様式の城壁ある市《ゴーロド》だ。現代СССРの勤労者が生産に従事し新しい生活様式をつくりつつある工場、クラブと、住んで、そこで石油コンロを燃しているであろう家とが時によるとモスクワの両端に飛びはなれてる場合がある。家へ帰ってシチ(キャベジ入スープ)を食って、さてまた市のあっちの端まで、たとえば労働者新聞で今朝読み工場では一時間の昼休みに職場委員がそのために集った「生産経済計画《プロフィンプラン》」の演
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