の発生について世界の人類が経て来た道が知りたくなってくる。それについて、人類はいくつかの興味ある研究をとげている。
一、モルガン著(改造文庫)古代社会 上下
一、ベーベル著(改造文庫)婦人論
一、リヤー著(岩波文庫)婚姻の諸形式
一、ラッパポート著(改造文庫)社会進化と婦人の地位
一、能智修彌著 婦人問題の基礎知識
(これは古本屋でさがすしかない)
なぜ有名なエレン・ケイ女史などが、二十世紀の初頭に恋愛と結婚を中心に婦人の問題をロマンティックではあるが、女の立場としてとりあげるようになり、イギリスの、パンクハースト夫人がほとんど狂熱的な行動で婦人の参政権を要求しなければいられない気になったかという社会事情が、以上の本でわかる。とくに後の二冊はヨーロッパ大戦後、一躍した世界の女の諸事情(もとより日本をこめて)を示している点で有益だと思う。
こういう人類の歴史の大筋を一方に眺めつつ、それと関係をもって古典から現代までの文学作品を見渡すことはたいへん面白いことである。なぜなら文学史というものは、その脊骨の中に社会の歴史をひそめて今日までのびてきている。作家も読者も作中人
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