若い婦人のための書棚
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)屡々《しばしば》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)子が婚姻をするのは年齢を問わず[#「年齢を問わず」に傍点]
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 私たちのまわりには何と沢山の本があることだろう。ほとんどおそろしいほどどっさり本がある。けれども、私たちがそれを読む時間も金も限られており、何かの形でまとまった系統を立てて、ごく毎日の生活の滋養になるような工合に本を選び、それをポツポツと読んでゆくことは容易でない。
 ブック・レビュウをして深く感じることは、ただ月二三冊の新刊の本をとりあげていって見ても、読者の本を読んでゆく一貫した方法というものに対しては、大して貢献するところがないであろうという不安である。そこで、本月と来月とはこれまでのいわばしきたりを変えて、一つちょっとした試みをして見たいと思う。何年の間でも読者に役に立つような読書プランというようなものを、即興的にではあるが、こしらえて見たい。
 従来からも、日本は家族を中心においた風習の国である。その家族を単位とした社会の生活の中で
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