解説として、穂積重遠博士が序言及び婚姻を執筆していられる。この民法改正要綱は昭和二年政府が臨時法制審議会を設けて、我々に日常関係ある民法のうち、親族、相続法の改正案を審議した。
私たちは、日ごろ結婚というものを主として対手の有無によって話しているが、日本の親族法は、男満三十年、女満二十五年に達するまでは、婚姻をするのに父母が法律上の同意を示さなければ成立しないことになっている。子の婚姻を承諾しないことは全く親の自由であった。だから先日も新聞にあったように、息子の妻の入籍を親が許さなかったため、その息子の戦死と孫の出生でかえって父母の歎きが深いというような実例が生じる。改正案では、子が婚姻をするのは年齢を問わず[#「年齢を問わず」に傍点]、父母、祖父母[#「祖父母」に傍点]の同意がいることになり、未成年者がそれに反した婚姻をすると、父母、祖父母が取消してよいことになっている。元は男三十歳女二十五歳以後は婚姻は自主的にされたが、改正案によれば例え四十の男と三十歳の女とが結婚するにも、父母祖父母までの同意を要するということになる。しかし従来の親族法では、父母が同意するしないは父母の絶対の自
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