ず、女全体の関係していることとして、堅忍に勇ましくそれを着実な方法で、ましにしてゆくために毎日の努力がされなければならないのだと思う。
「家族制度全集」という叢書が東京河出書房から出されはじめた。法学博士穂積重遠、中川善之助両氏の責任監輯で、各巻第一部史論篇、第二部法律篇(各一円六十銭)全部で五巻十冊の予定である。内容は婚姻。離婚。親子。家。相続。各巻をなしていずれも、今日に至るまでの社会の歴史の発達の面からの史論と、現在行われているそれぞれに関係の法律の解説とがされている。第三巻親子までが出版された。執筆者がそれぞれの専門家であり、一般の読者を考えて書かれているから、日本における家族、家庭のありようを眺め、理解するために有益な全書である。たとえば第一巻婚姻の史論篇の内容は、婚姻史概説。自然法的婚姻及び離婚論。日本結婚風俗史。一夫一婦論。妾。婦人と政治。婦人の国際的保護。妻の所得の保護。ソヴェトの婚姻法。フランスにおける内縁問題。結婚優生学。これらの各項をそれぞれの専門家が執筆している。第二巻法律篇は、婚姻法概論からはじまって、妻の無能力(法律上)。内縁。国際婚姻法。最後に民法改正要綱
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