うことを強調しているのは、民法における婦人の地位がどんなものであるかということを婦人自身が全く知らずにいて、その結果としての悲劇ばかりを生涯の上に負わなければならないことを福沢諭吉は憐れにも思い、はがゆくも思ったからであろう。経済上の知識ということも福沢諭吉の論じている範囲では、あまりに婦人が深窓に育ち世事にうとく、次第に複雑化して来る近代社会の経済関係の中で、常に騙され損失を蒙る可哀そうな立場にあることを見て、婦人もやはり社会の経済に関する理解を持たなければ、家庭の安全と幸福さえも保てないと力説している。この賢明な助力者である福沢諭吉が、婦人の職業的経済的自立の問題に触れていないことは注目される。「新女大学」は、戸主が婦人の社会的地域に十分の同情と理解とを持って、財産相続或は分配の場合に、ヨーロッパ諸国のように、女子にも適当な経済上の保護、分配を与えるべきである、と主張している。日本の家族制度では、相続権は長男にある。同じ子供でも、女子は権利を持っていないことになっている。そのために能力の弱い婦人が、社会的に悲境に陥りがちなことを諭吉は憐んで、女子に対する経済的の保護ということを言っ
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