ているのである。福沢諭吉が女子の経済的自立をとりあげず、戸主との分配権をとりあげたのは、全く、資本主義国日本としての、ブルジョア民主化の先鞭をつけたものであった。日本の権力は、一方資本主義化の諸悪を社会に発生させつつ、資本主義国の進歩的な面は、最少にしか実現して来なかったのである。今日この点を改めてとり上げてみるならば、第一日本の総人口の九割迄の人々は、一生を働き通して、しかも伝えるものとては借金以外に極く僅かの財産しか持たず、況《ま》してそれを何人かの子供に平等に分配するという程の富を蓄積し得ない人民の経済生活である。従って、第一次大戦後の大正年間に、婦人の経済的独立という問題が社会の各方面から叫ばれたのは当然である。
 大正年代には婦人参政権運動の一群の進歩的な婦人たちと並んで、労農党の一翼として、婦人同盟という進歩的な婦人の団体があった。この団体は、婦人の政治上の権利の平等を主張すると共に、婦人に経済的独立の可能を与えよと熱心に提唱して、女性が社会的発展を遂げる根本条件を確保しようと努力した。しかしこの努力も第一次大戦後の経済破綻、それに伴っての大失業、より多くの女子の失業等の大
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