険も全市にひろがろうとしている。
 これらすべての危期が、愛する日本を覆い、私たちの時々刻々を脅かしているのである。
 四月十日の総選挙をめざして、各政党が、どう党費をまかなっているか、「国民的監視が必要」と云われている。十五億九千万円の動産と百三十五万町歩の土地とをもつ日本の君主は、この波瀾万丈の日本全土を巡って、自身の宣戦によって戦争が引起され、全人民の生活が破壊されている光景を前に、人民投票をさせようとしている。
 生きようと欲するのは男だけの希望であろうか。子をもっている雌虎は、雄よりも強い闘争力をもっている。このことは、どんな猟師も知っている。私たち婦人は、生きることを欲している。美しく幸福なわが日本に、よろこびをもって生きることを望んでいるのである。
 人まかせにして、今日の破局が生じている以上、私たちが、もう人まかせにはしておけないと思って来ているのは、理の当然ではないだろうか。
 人民のための人民共和の政府がもたらされなければ、結局、婦人のために保育所一つ、授産所一つ作られないことが、わかって来たのは必然であると思う。モラトリアムと生活費値上りの恐ろしいばかりの食いちが
前へ 次へ
全111ページ中105ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング