なった。省線に乗ったらば、二十銭区間が四十銭になり、三円の回数券は、九円である。闇市場では、ミカンや汁粉は、とぶようにうれて、やすいものは売れないと、新聞は報じている。やすいものといっても、十五円のものが十円に下った程度であるとも報じられている。
水道十二倍、ガス六倍の値上げが予告されている。私たちの眼は、大きく大きくと見開かれてゆく。生活は、どうなるのだろうか。今日そう思わない人民大衆は一人もあるまいと信じる。全く私たちの生活は、どうなるのだろう。
三月四日の新聞は「月五百円『当局の家計簿』標準は都会五人家族」という記事を出した。
日本の人口統計では、一家平均の子供数五人とされていたのを思い起して、この記事をみる人々は、おのずから肌に粟を生じはしないだろうか。子供だけでさえ五人平均とするならば、その両親、年よりまでを加えたら、何人家内になるであろうか。「標準」から溢れ、はみ出した二人の人間、或は三人の人間は、何で生きて行くという「標準」なのであろうか。
これらの記事と並んで、同じ紙面に、新円六十万円の泥棒。若い娘の失踪六十一名。幼児誘拐も報ぜられている。天然痘、発疹チブスの危
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