ぜの炊事当番が、ジャガ薯の皮むきをやっている光景によくぶつかる。
学年が進むと、級の日常生活は男女生徒の衛生委員、経済委員、学務委員、社会活動委員の活動によって実質的に進められてゆくようになるのだ。
だが、ここに微妙な現象が、学級の進むにつれて(ソヴェト同盟では小学校が初等学校四年制、あと七年制、九年制とある。)起って来る。
級の小さい頃は漠然と仲よしで一組になっていた男の子と女の子とが七年生(十三、四歳)ぐらいになると、一種の発展的分化をおこす。
小学校の退けどき、賑やかな一団にまぎれ込んで歩いて見ると、小さい級の子供は男の子も女の子もゴチャゴチャだ。冬、むっくり着ぶくれて、頬っぺたまで包む帽子をかぶっているところは女の子も男の子も見境いがつかない。チーチーパッパでやって行くが、上級の子は、女の子は大抵の女の子とつれ立ち、男の子は男の子とつれ立っている。ペーヴメントから溢れるほど大勢で威勢よくのして来る一群には、数人の男の子、女の子入れまじりだ。男の子、女の子と一組だけ組んでいる場合は少い。
自然の性的自覚が、ソヴェト同盟の少年少女の間にでもこの微妙な現象をおこすのだ。
前へ
次へ
全17ページ中9ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング