横へつったってニーナと口論しつづけている。
「やだヨ! お前となんか坐るもんか! いつだって机ん中ゴシャゴシャにしとる奴! この前級の赤いクレイオンがなくなったのだって、誰がわるいんだ? お前だよ! お前がゴチャゴチャの中へころがしこんで、散々さがして、われわれみんなになくちゃならない赤クレイオンを三つに折っちゃったんだ」
「じゃ、どう? お前はどう? この前博物のときいる鼠を逃がしちゃったのは誰ヨ! 放っといておくれ! 知ってるのは悪口ばっかりだ!」
「どっちが! 知ってるか? お前みたいなのがムジカクな娘ってんだ」
ニーナは真赤になって涙を出しはじめる。仲裁がいる。
「子供たち! ニーナとアリョーシャがこういう始末で口論しているが、どうしたらいいと思う? 別々に坐らせようか? それとも一緒に坐った方がいいと思うか?」
そこで級の大衆討論だ。隅で苦々しげに
「いつだって騒動おっぱじめる原因は女の子だ!」
と、しかめっ面してイフゲニーが机に頬杖をついている。
討論は到頭男の子と女の子と、どっちが規律正しい生活が出来るか、ソヴェト権力はどんなにプロレタリアートの自覚ある規則を必要
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