ったわ、今夜はたのしみです。
それでも赤い御飯がたけ、珍しく配給の豆腐のお汁が出来、配給の魚の名は妙な名で、オマエみたいな名ですが、頭つきで大威張りの焼き魚でした。
よみはじめる本[自注4]、島田へゆくまでに三百余頁だから終りたいものです。
十日に書いて下すったお手紙ありがとう。きのう、十二日、着。お手紙の趣しみじみよく分ります。だからわたしもせめてきょうからは、と埃まびれにもなった次第でした。そうです、全く非人間的な現象が人間らしいものとなるのは、上塗りのコテ工合でゆくものではありません。孜々《しし》として勉学する、孜々として勉学する、ここに無限のものがあります。この頃はね、私がこういう生活しているせいかもしれないが、作家の誰彼が、どこでどう生活しているのか、ひところのサロン的彷徨出没がなくなったから普通の人々は全く我れ関せずのようです。宇野千代が、日露戦争秘話という本かいているようですね。そうお。あのひとはやりてなんですか。そんな工合です。所謂作家生活が崩壊したスピードは大したものね、この一年足らずの間に。特に最近の半年足らずの間に。吹きちらされたようにどこかで、どうにかして
前へ
次へ
全357ページ中45ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング