てしまって、あすこもどうなることやら。地下室にしまいこまれているらしいようです。開成山の疎開荷物に、本の木箱二つが仲間入りいたしました。本をいじっていて感じましたが、本の大事にしかたというか重点のおきかたも、その人の成長の段々をきまりわるいばかり反映いたしますね。蔵書というものは大切なものね、その人の内部があらわれていて。文学者はとかく雑書が多いというのは、特長的で、しかもマイナス的特徴ではないでしょうか。
 本のよみかたについては先般来、一冊の医者の本も、どのように読まれるか、ということを痛感していたので、クラウゼヴィッツのことも身にしみました。或る優れた人は、一冊の本も、其だけの事実というか、リアリティーとして自分に獲得して、その地点では、読んだところまではっきり前進しその点は確保するのね。平凡な読みては、自分とその対象を相《あ》い対《たい》にしておいたままで、ちょいちょい本へ出入りして、わずかのものを運び出して来て自分の袋へつめこんで自分は元のところにいるのね。この相異は、結果として、一冊のよい本についてみても、よんだ丈のことはあるようになった人間と、「それはよんだ」人間と、おそ
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