配給なしだというので駄目。何とかおひるをすましたら、倉知の樺太にいる従弟が上京しているのが、息子同伴で夕飯に来るとの電話でした。ブランカ一時に緊張し、前かけの紐しめ直して台所へこそ、いでにけり。だってね、この人の健啖は勇名轟いていて、わが家の剛の者が束になってかかったってかなわないのよ。紀の兄で十八の息子が紀のところから専門学校の機械に通って居ります。この豊寿という人は、十七年の七月末にわたしがひっくりかえった晩林町へ上京して来て、家じゅう空っぽにしてかけ廻る番人をしてくれたのですって。三日目に気がついて何かお礼云ったのを覚えて居ります、ですから、わたしとしては三年目の上京には、ひもじい思いをさせられないのよ。台所の戸棚あけてつらつらと眺めますが、あるものと云えば、さつまいも、かぼちゃ。どっちも自分として、とびつく気にならず。パタパタ火をおこしていながら思案して、ないにはまさる、とカボチャうんと切って味丈は美味しく煮て、火なしコンロ(おはち入れの応用)へしまって、さて考え考え足し足ししてお米をとぎ、汁のためのダシをとり、その間、腰かけへかけてアン・リンドバーグの「北方への旅」のつづきを
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