ろうかと想像したとき、何だか索然たるものを感じるような人に対しては、もとのように渾心で向わないの、剣法がすこし分って、いつも重心は自分の内におくことにしているの。ですから。同情もいたします、でも、腑に落ちないところは腑に落ちかねて。二人のひとが保険外交員でなくて、私も作家ならやはりそういうわけでしょう。
八時すぎて夕飯たべました。ひとに出す御飯がないのよ。来たひとも気の毒ですが。
其から太郎がせがむので二階へ臥かせて、話してやって、手紙かこうとしたら、疲れすぎを感じ、きょうにまわしました。
あの叢書が買えなかったことを、私は天のお告げとうけとったのよ、凄いでしょう。お前のよむべきものを先ずよみなさい、そういうお告とうけとって、成程ねと感じ従順にうけとり、きょうは、大分歯抜けになった本棚を大体整理いたしました。
ちがった形でいいことがあったわけです。
去年の同じ日は大した月夜でした。そして、今よみかえしてみると思いあまった言葉足らずの詩をつくりました。まだ一人歩きが全く出来ず門外不出の生活で。
一年経って、一日のくらしかたを思いくらべると、丈夫になったし其にすべてが私として常
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