かわいているので、顔を洗ったあと、何かつけないと皮膚がパリつきます。尤も水もわるいけれども。東京では洗ったあとから汗がわくみたいで、何もつけられませんが。
 こちらの食物も極めて単調で、トーフなんか二ヵ月もたべられず、魚もないそうです、玉子もトリも。しかし、ジャガイモは、米とさし引ながらたっぷりあって煮ころがしをたべ、消耗の少いところからガツガツが少いようよ。畑からキューリもいできて、トーモロコシ折ってきて、其だけでもちがうわね、きもちが。子供ががつがつしていないのはうれしいと思います。
 着いた九日の夜は夢中で臥てしまって(一時四十分発、七時五十分着)きのうは一日体がギシギシして茶の間にみこしを据えたまま動けず。夕方畑まわりをして健坊が、葉かげの南瓜に挨拶するのをうれしく眺めました。
 きょうは、よほど体も楽になったのよ、こうやって手紙かく位。今にアンマさんが来るかもしれません、肩をもんで貰います。体のあちこちしこりがとれかけているのに、肩だけ怒らしているみたいにつまっているから、もんだ方が早く楽になるからって。
 こうやって林町での生活を遠くから見直してみると、三月から実によくもや
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