真昼の公園のイメージのときはぱっちりでしたが又ねむたいわ。ではね。お大事に、呉々も。
八月一日夜 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
八月一日、
さあ、これで一先ず落付きました。ゆっくり、あれこれのことをお話しいたさなければなりません。
今夕方の六時で、わたしは第一次夕飯を終りました。というと、第二次第三次とありそうで、支那の長夜の宴めいてきこえますが、実際はね、一度分に御飯が足りなくしかのこっていなくて、迚もこれでは駄目なのよ、しかし、ひるはパフパフですましたから、チャンともう一度たべる必要あり、午後からよく働いておちおち手紙かけない位ペコでしたから、豆入り飯にトロロコブのつゆをたべたところ。こんな話しぶりで、もうおわかりでしょう、うちには私一人だということが。そして、欣然として二人遊びにとりかかったということが。
二十五日の午前十一時何分かの汽車で、咲国二人旋風の如く出立。夕刻、寿が来ました。(その間に手紙かいたわね)次の日から荷物のかき集め、生れた家から出るというので、何となし喋りたく美味しいものがたべたく、そういう寿のこころと口とを満すために相当困憊いた
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