る
[#ここで字下げ終わり]
何の虫のせいかこんなものが出来てお目にかけます、どうせ又出なくなってしまうのよね、きっと。もう一つ或人に書いてやった文句
さるの子も親にだかれて松の枝
これは可愛らしくて気に入りました。
十日
つまりお正月のなぐさみと申すべき。
一月十七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
一月十七日
十五日づけのお手紙きょう頂きました。何よりも先ずすこしは正月らしくなったのをおよろこびいたします。本当に旧正月がい[#「い」に「ママ」の注記]わ。暦の上では何日でしょう。わたしは今年から生活の整理のため又日記をつけはじめましたが、普通の日記というものはなくなったので、十六年のを使っているのよ。ですから何だか見当がつかないけれど。ことしは面白い年で、一月の二十三日も二月十三日も、日曜に当ります、そして二月は二十九日よ。女のひとから求婚してもよいと云われる年よ。
去年の後半は私も揉みくちゃになったところがありましたが、云わばもう其で揉みぬいたようなところが出来て、今年はもう全く心機一転よ。相変らずの、手のかかったことしてやっさもっ
前へ
次へ
全357ページ中16ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング