女丈夫だって。いつお前たちの必要がおこるかもしれませんよ。他人のパンを乞うよりは、私のお金の方が使いよかろう、と皇帝の見栄坊に一矢酬いたという。この伝記者は、もう少し突こんでかくべきマレンゴのことやブリューメルについて大変、おっかさんの側からだけ、彼女の知っている範囲でかいていてその点つまりませんが、コルシカという島の十八世紀末におけるむずかしい立場、島内のありさま等よく分ります。箕作元八のナポレオン伝は傑作で辛辣でもあります。ナポレオンが不肖の弟たちを王にして自身を危くした愚かさを云って居り、本当と思いましたが、そこにコルシカの伝統(族長家族)があり、大家族の首としてのナポレオンの兄貴としてのやりかたがあったのですね。支那みたいに、一人が出世するとズルズルとたぐったのね、十八世紀のイタリーもそうだったそうですが。(この時代のイタリーは私生子全盛時代であった由、(カテリーヌ・メディチの親父等)ナポレオンが失脚後ボナパルトと云われ、スタンダールが憤った扱いをフランス人がしたのは、どうしてもコルシカの[#「コルシカの」に傍点]というところが、フランス人の考えからぬけなかったこともあるのでし
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