いけないかもしれないわ。一寸待って。
ね、やっぱり。面妖な雲が東の空、西の空に現れました。ふとん干して降られたら眼も当てられず。いそいでとり込むなんて出来ないんですもの、重くて、大きくて、おまけに高いところにかけるから。
こうしてしまってしまえば安心よ。あなたのところへ、冨美ちゃんの可憐な二十円也と達ちゃんたちの写真をお送りするこしらえをいたしました。この写真に、お母さんが入っていらっしゃいません、私たちはお母さんも見たいことね。
咲は月一杯はいるつもりでしょう。家片づけや月番やをやり乍ら。達ちゃん上京するなら、家が余り狭く暮すようにならないうち、そして咲がいて、国のお守り出来て、わたしと達ちゃんが、すこし留守しても結構というときがいいと思って、手紙出しました。くり合わせがつくかどうでしょうか。
こうして、腕ニュッと出るキモノ着ていると、み[#「み」に傍点]が入って光沢もよくなって来たのが分って、うれしいと思います。きのうだったか、紀という従弟が来て音声が響きがちがって来たと云ってくれました。この間迄は、病人ぽかったって。わたしは或ところ迄丈夫になると、闊達に暮すのが療法になる
前へ
次へ
全357ページ中126ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング