という話です。
この間の手紙に入れたコスモスの花はどうしましたろう。御覧になりましたか? 秋の花らしかったから入れたのだけれど。今日はたっぷり書いて少しまくまくですから、ではこれでさようなら、ね。
十月二十七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 福沢一郎筆「海(三)[#「(三)」は縦中横]」の絵はがき)〕
手紙に書きもらしましたから一寸。多賀ちゃんから先程手紙で、病気は何でもなく保健所でレントゲン透視をしてもらったら、どこにも異状なしでしたそうです。柳井の組合病院でもレントゲン写真を撮ったところ、これまで病気したあともなくて大変きれいだと言われたそうで大喜びして居ります。肺尖という診たてはあやまりだそうです。本当にされないように喜んでいるし、私達も如何にも気が軽くなって嬉しゅう御座いますね。
十月三十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 封書)〕
十月三十一日
もう十一月とは何という早さでしょう。去年の十二月から今日まで、殆んど眼と鼻の間なのにもう今年が終るとは。誰でも今年はひどく早い一年だったと思うでしょうね。私にはブランクの時がはさまっているか
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