私はかんしゃく持ちです。気が短かくなっています。胴忘れも相当します。そういうことは皆新しい現象です。しかし自分でもこだわらずだんだん物覚えがよくなれば治るだろうし、体が丈夫になれば根気も続くだろうと皆さんには御免こうむっています。(ペンさんはいい子だから、私の短気になったことを気付いていても抵抗しないでいるでしょうが、寿江子さんたら御飯の食べっぷりまでせっかちだと言うから閉口します)
 二十日のお手紙の反歌にはどういうお礼をしたらいいかと思います。どうも代筆の字では現わしにくい。実は私はこのお礼だけは自分で書いて差上げたいと思いましたが、でもそれでは折角の日頃のおっしゃりつけも無駄になるし。珍重という言葉はこういう時にこそ使われると思いました。堂々としていて率直で、すくなくとも枕言葉歌の類ではないし、私にとっては名歌だけれど、あんまりほめるのを書いてもらうのも何となし、体がポッポとするわね。
 ○冬シャツは調べてもう一組お送りしましょう。
 ○年鑑は承知しました。
 これからは成るたけ色んな細い毎日のことをお知らせしようと思います。去年の十二月から十ヵ月引きこもり生活をしてわずかな時間
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