ちゃんのキィーキィ声がかき消される始末で、私はその音で動悸が早くなる程厭です。私がかんしゃくを起すから温和なこの人まで神経をたてて、みているとこんなに字をまちがえているでしょう! ですから万端お察し下さい。あなたが乾いた単調さとお戦いになる程度にここでは音やごちゃごちゃとの組打がひどくて、ここの生活に一寸もなれない内、いきなりこちらはヘバってうずまきに巻き込まれたから大閉口の有様です(愚痴をこぼしてごめんなさい、こういう愚痴もたまにはこぼしたいものよ)世界史瞥見の続きというのは、「娘への手紙」の続きでしょうか。それならばおあきになった時、こちらへ送って頂きたいと思います。前編はやはりお友達からのものでしょうか。やはりお返ししなければならないものでしょうか。若しそうならば続編を読んでもらってから『元禄快挙録』と他の小説と一緒にお返し致しますが。青年書房版の『世界外交史』ヴェー・ペー・ポチョームキン監修第一巻を買いました。第二巻はまだ出ませんが、第一巻は一九四一年版で十六世紀から「ジャコペン党外交の組織」までです。若し興味がおありになるようならすぐ送ります。私の方も読むのに我が眼が役にたた
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