下さい。大変見馴れないでしょう。自分にも良くなれる事の出来ない自分です。)
 下手な読手は、変にぼってりとした自分の肉付けを文章のまわりにくっつけるので、意味が解りにくいばかりか、文章の味などと云うものが全く消えます。もし長く見えないと、私にとって読手と云う者が書手同様必要ですが(スエコ曰く「オオコワイ」)その人の選択と云うものは、性質の良さの他に、そう云う特別な要求点があるわけですから、なかなか見付けるのに困難しましょう。口述の簡単なのでも人の性質によっては、抵抗があってやりにくいものです。何しろ、そうそうスエコを乱用も出来ませんから。既に御らんの通り、オオコワイと云われてみればね。
「インディラへの手紙」の著者は、また現代史を書きつづけるような生活ぶりらしい様子ですが、彼の国の今日の歴史は実に紛糾していて、沢山の犠牲が行われている模様です。なかなか現代史のページは、立体的ですから。過去の歴史のどの時代にも無い内容です。
「シンプル」は、十九世紀始めのイギリス海軍が、どんなに野蛮で粗野な一面を持っていたか、フランスと対抗していたこの時代に、イギリスの軍艦の水夫が、どんな動物的な狩り立
前へ 次へ
全137ページ中15ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング