四日と、二十八日。(これは丁の翌朝)
[#ここで字下げ終わり]
     読書は六十一頁。
 読書は、長いものかく間だけは、やすみたいのです。私の計画では、それまでによんでしまいたいのですが。そしたらいいことね。これが終れたら、あとすこしウリヤーノフのものつづけてよみます。終れたらという字が、ひとりでにかけて、笑えてしまいました。フーフー工合がおのずから流露している次第で。ああなんとあなたはスパルタの良人でしょう。スパルタ人の母とか妻とか云う表現はあったが、これは私の新造語にしろ、スパルタの良人というものもあるわね。すこしは同感でしょう?
 ところで、十三日は(二月)すこし風変りな誕生日をしとうございます。ついこの間同じ顔で御飯たべて、その世話をやいてへたばったから又同じようにうちでやるのは、くたびれます。それはあなたのお誕生日にいたしましょう。そして私は十二日に鵠沼にいる女友達で小原さんというのを見舞に行ってやって、それのひきつづきで十三日はどこかで過したいと頻りに多賀ちゃんと計画しています。又一昨年の二月十三日をすごした熱川《あたがわ》へ行こうかとも考えます。或は国府津の家へ、とも
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