第七十一信
ひどい雨が又降り出しましたね。このザアザアの音。雨の音ききながらぐっすり眠るの、何といい心持でしょう。私たちほんとにほっとして居ります。あやしげな者がこのあたりから退治されたから。
夜のしずかな人気のない往来の袋小路を照す灯の下へ、ジリリ、ジリリと黒い姿が出て来て、白い姿を垣根へおしつけたあの殺気は、強烈な印象です。怪我というほどのことがなくてようございました。往来を見おろせる窓は有益ね。高い窓からの声は、下の往来でもみ合う砂利の音や罵声をこして、四隣にひびきます。しかし近来、人気のわるくなったこと沁々と感じます。稲ちゃんのところへやはり二階づたいに入った由。誰もいなかった二階へとなりの若いものが入ってものをとった由。どっち道犬は飼いましょうか。これから冬になるし、くれにはなるし。〔中略〕
きょう、島田の生活がどうであるにかかわらず、こっちの生活がどうであるにかかわらず、それは、と私たちのするべきこととして仰云ったことが、これまで分っていたと思っていた理解の棚の底をふっとぬいて、もう少し深いところまで自分の気持が到達した感じをひき出しました。この感じ、おわかりになるか
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