えます。
あなたは体がよくおありにならないから、私のなかの生きものが身をよじる話なんかしてはいけないのだ、とも思うの。自分がこんな気持で、座談会で、女の生活のいろいろのことについて話す。生活というものの複雑なおもしろさ、そして又女の生活の自然な開花を希う私の心に女として何と痛切なモティーヴがあるだろうと思ったり。
涙は出さず、眠りました。
けさ、ひどく早く半ば目がさめ、夢のように、ああ今朝と思いました。暫くそこにある情景のなかにいて、又眠って、けさはおそくおきました。
そしたらくたびれは大分ぬけて居ります。きょうは一日家居。『日本評論』に十五枚ほどつるさんの評論の書評をかきます。評論対評論風にではなく、作家があの本から得て来るものについてかくのです、その方がよむひとにわかりやすいから。
その前にどうしても手紙かかずには居れなく、しかもやっぱりこういう手紙を。でも私は書きつつ、ああいいよ、と云われている声や眼やすべてを感じて居ります。これは正銘だと思います。単数で表現されているものではないと思われもします。ああだけれども、やっぱりこの顫音は消えないわ。いろいろな頭のはたらき。い
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