十三日になりました。朝早く九時すぎそちらへ行って、四時すぎまで居りました。マルグリット・オオドゥウの「街から風車場へ」という小説の終りの部分をよんでしまって、それから三和土《たたき》の上にみかんの皮やキャラメルの紙のちらかっているところを眺めたり、どっさりの男の子や女の子の顔が、何て一つ一つおふくろさんの顔に似ているのだろうと思って念を入れて、その子の対手の女や男まで思い泛ぶようにして見たりしました。午後になってから気分が楽天的になって、いろいろ書いているもののことについて考えたりして居りました。一日同じ建物にいたわけ。
それから、大変待たせて、云々という御挨拶を伺って、家へかえりました。五時には家を出なければなりません。四時半ごろについたら、てっちゃんが丁度来て茶の間に待っていました。いきなり旋風を捲きおこす形で私が入って行ったので、ホウホウという次第です。それから大いそぎでお雑煮をたべて、着物きかえて、そこへ入って来た彌生子さんと一緒に家を出ました。
座談会は木々高太郎、奥むめを、私よ。『新女苑』。十時すぎ散会。かえりに目白駅まで送られて、そこで自動車をおりました。
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