けの愛着があってのことですから、決して片々的片手間仕事にはしません。それに、この前の手紙で云っていたようにいろいろと考えていることがあるのですし。
机の上にペラゲアの赤い花が二輪さしてあって、青い大きい生々とした葉っぱとともにいかにも鮮やかな色です。原稿紙の厚いかさなりの上にやきものの山羊がのっていて、その文鎮にあなたのお手紙よせかけて眺めてかいているのですけれど、私は、この手紙ひらいたときから、きのうから、幾度も幾度も、行為の動機は思慮深く、とかかれているところをくりかえしています。
まざまざとそのときの苦痛が甦ります。寝ることも出来なかったし、歩く力もないようになって、夜じゅう何か畳の上を膝で居ざって歩いていた、はーっと時々苦しい息をつきながら。
一生忘れない夜であると思います。スタンドが何とギラギラ明るかったでしょう。自分に対する何という口おしさだったでしょう。
その苦しさが肉体のなかに甦って来て、しぼるような感じです。
私がある一人の女のひとの真にいたましい悲劇を、しんから思いやり、苦悩の過程を辿ることが出来るのはああいう一夜のためですね。そう思います。そして、こうい
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