うねましょうね。又犬が啼いてるわ。
九月三十日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
九月三十日 第六十六信
二十八日づけのお手紙、きのう着。ありがとう。
菊さっぱりして、秋らしくて奇麗でしょう。
三省堂の『書斎』御免なさい。あれは、やっぱり出ていないのよ。ずーっと出ないようになったまま、出ていないのです。
二十日の手紙は、お話ししたとおり。二十六日の消印よ。座布団と手紙とは、扱いにおいておのずから違います、ねえ。
きのう、きょうは寒いこと、セル着ていらっしゃいますか。きょうは、女のひとのためのものを二十枚かかなければならないのよ。ヘッセのことをかきましょう、随分よまれているから。ヘッセのうちにある正しいものと、ロマンティシズムにぼやかされているものとの区別、大体ロマンティシズムとはどういうものか、そんなこと。今は妙な時代でね、日本はロマンティック時代というところがありますから。壮語的ロマンティシズムと極めて低俗な万歳的地口とが、日常の感覚のなかでよりわけられずにまざっています。大した大人たちがその見本を示しているから。
小説は、書き直しといってもそれには其だ
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