、出来そうでもあるけれど。そんなことを考えたわけでした。寿江子なんかはこの頃うしろにいても、じっとさえしていれば、普通の仕事は出来ることもあるので。面白く思ったのでした。だってこの頃はあなたの体の中にはいりこんだ邪魔ものとさえ、あなたが其を持ってやっていらっしゃるように私も馴染んでいるのですものね。
 一葉については明治二十九年来百種ばかりかいたものがあるようです。でも私は、そういう文献学的跋渉はしないで、いきなり作品と日記とその時代の生活全般とのてらし合わせで話しをすすめました。五十九枚かいてね。『文学界』のロマンティシズムと一葉の、互に交叉し合った旧さ新しさの矛盾、ロマンティシズムそのもののもっていた限界の頂点で一葉の「たけくらべ」の完成と賞讚とがあったこと、彼女のうちにあるいろいろな常識の葛藤など分析しました。
 きのうきょうは、そのつぎのロマンティシズムとして晶子、『明星』のロマンティシズムのこと、二十三枚終り。『文学界』のロマンティシズムは、日本の恋愛は痴情であるという観念に対してダンテ的愛を強調したけれど、『明星』のロマンティシズムは肉体の権利と高揚とを肯定して、一つの推進
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