い切れないということなども感じました。作家として、この筆者の芸術性を具体的に示す責任を感じるわけです、いつも感じること乍ら。ではどうぞお元気に。二十三日にね。

 一月二十四日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 一月二十一日  第七信
 本当は仕事しなければいけないのですが。ね、こっちのペンをもっているくせに。御機嫌はいかがでしょう、寒さもこんなに乾くとあらっぽくていやですね。こんな冬にはやっぱり、春のような冬とは思えないでしょうね、きっと。
 ゆうべも、二十三日にはどうなさるかしら、そして自分はどうしようかしらと思いました、夕方からは座談会があって出かけます、花を朝たっぷり買おうと思います、それからそちらへ行って玉子と花とをあげましょうね、そして、どうしようかしら。あなたもそうお考えですか。それとも考えるまでもなく、という条件でしょうか。こちらには、そこがよく分らないのでどうだろうと思うのです。無理をおさせしてはわるいし、いやだから、玉子にして置こうかとも思い、或は、とも思い。でもあなたのことだから妙な義理立てはなさりますまいから、という結論に達しているわけです。それでい
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