ぐり出して、よんでゆくようなわけですから。それでも、ここにはやっぱり面白いものがあります。男が仕事と家庭とを二つながらなくてはならないものとするように、女も生活力のつよいひとにとっては、仕事も家庭もいる。その自然であるべきことが、自然として世俗の通念に納得されない。その葛藤です。人間同士の理解には限界のあることをバックは結論としています、しかし彼女はその狭い主観的な輪が、歴史のなかでひろげられてゆくかくされた可能におかれている点は見落しているのよ。最も発展的な人間性の可能を、その意味ではつかめないのです。
 バックさんの遺憾事はいつもここのところにたぐまっています。同時に、私は文学――人智一般についても云えるが、――ノーベル賞そのものの限界もおのずとあらわれていて、実に興味ふかく思います。ノーベルはノーベルね。人間の可能性の率直な見とおしにはたえないのよ。そこまで歴史のなかの人間を評価する力はないところが面白い。「愛国者」もおしまいにゆくとこんがらかって「大地」のどこかへとけ込んでしまってね、「しかし土地があります」(都会がこわされてしまって何一つなくなったとしても)そこへ妻子をつれて
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