いうのはいつでしょう。昔というのはいつだったのでしょう、そう考えて何だかあわてたような気になります。
 ほら、動坂の家でね、私たちは、自分たちの新しい生活のために仕事が少しでも遅滞してはいけないと思って、随分辛がりながらよく夜中おきては仕事いたしましたね。あの、いやな緑茶を濃く濃くして呑んでは。それとつながった気持から、やっぱり私が別の考えようをしていたということは、はっきり思い出すことが出来ますけれど。
 ここに云われていることは精髄的な点です、ただ一つののこりものを光栄あらしめる本質です。これは私にきわめて明瞭な感覚です、一般的な動物的な欲求ではないのですものね、土台。ほかならぬ一つの心と肉体以外に連関のあることではないのですもの。私は舟橋聖一ではないから、ヒューマニティというものを動物的なところまで、煩悩までは包括して考えられませんもの。それにしても、こういうゆたかなモメントがあって、お互がお互の内に全くるつう[#「るつう」に傍点]になる心持は、何といい心持でしょう。何と一層緊密でしょう。全くたばでしょう? まるでまるでぴったりでしょう? 泣きたいほど、そうね。私たちにもたらされ
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